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ゴムの木から採れる樹液を食酢に混ぜると、樹液成分がゲル化してきます。手のひらでころころ固めると弾力のあるボールになって、床に投げつけてもちゃんとはね返ってきます。


実験プリント版

「実験テーマ」天然ゴム液からボールをつくる

「サブテーマ」

「キーワード」イソプレン 重合 ゲル化

「準備」「操作」「注意事項」web非公開

「解 説」

1.天然高分子化合物:天然ゴム液で知られるラテックスゴム液は、親水コロイドとして水溶液中に分散して安定しています。そこに電解質や酸などが加わると、コロイドの安定が失われ、ゲル化して軟らかい固体の生ゴムが得られます。→塩析

2.伸び縮み構造:イソプレン(C5H8)が重合して、両端で長くつながったポリイソプレン構造をしています。化合物の骨格の一部に二重結合があり、原子の並び方にアソビ(回転や歪み)があるために伸び縮みしやすいものと考えられます。イソプレンゴム分子の骨格部分は、・・・-C=C-C-C-C=C-C-・・・という長い鎖がつらなる構造で……省略…

3.加硫:生成した生ゴムは、分子間での物理的結合(絡みつき)だけで固まっているので、そのままでは形状を保つ事ができず、実用になりません。そこで、工業的には、硫黄を添加するという方法(加硫)が取られています。加硫により、ゴム分子間に硫黄の架橋ができ網目状構造になっているので、形状保持ができるのです。

4.ゴムノキ:厚く大きく、光沢を放つ葉を持つ観葉植物としても知られています。ラテックスは、熱帯地方で栽培されるゴム木から直接採取した乳液で、インドネシアやタイ、マレーシアなどから大量に輸入されています。これらは、燃やしても有害ガスがほとんど発生せず…

…省略…

「確認演習」

  1. イソプレンの構造式を描きなさい。
  2. イソプレンが付加重合する様子を示し、基本単位あたりの平均分子量を求めなさい。また、基本単位について、二重結合ひとつあたりの分子量を計算しなさい。
  3. 硫黄を加える加硫によって、強固な構造ができあがることを、図で示しなさい。

関連教材:衝撃を吸収するゴムボール


◇このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、解説の一部を非公開にしてあります。操作には一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対(!)にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものが多いので参考にして下さい。

◇著書(単著):『サクッと!化学実験(dZERO)』『高校教師が教える化学実験室』『実験マニア(亜紀書房)


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