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水が一杯のコップに茶こし網をかぶせてさかさまにします。あたり一面水びだしと思いきや、なかなか水は落ちてきません。

「動 画」準備中

□古い茶こしを用いると効果的

「操 作」

  1. 水が一杯のコップに茶こし網をかぶせてさかさまにする。
  2. 手に洗剤をすこしつけて、さかさまにした茶こし網の面を少しこすってみる。

「注意と工夫」

  1. 茶こし網は新品のものより、少し使用歴のあるものの方がやり易い。(網の目に茶殻のカスがついて網目が細かくなっている)
  2. やり直しする際には、洗剤をよく洗い落とすこと。

「解 説」

表面張力による浮力:水はお互い引き合って、最もエネルギー的に安定した球体を保とうとする性質があります。露や雨、しずくも霧、コップ一杯に水を注いだ時のコップの縁の水の場合も、空気との境界面に、水が引き合ってはお互いが離れないようにする力…表面張力が働きます。水は、まわりの水分子に取り囲まれて安定を保ってますが、境界面では、空気側には水が存在しないので、不安定となって、より内側に入り込んで(表面積を小さく保とうと)安定を図ろうとするのです。

コップと茶こしの実験では、水が網の目を通ろうとする際に、網が接触している部分では、その境界面が曲面となっています。この表面張力が、水がこぼれ落ちようとする力に対抗しようとするのです。また、水には大気圧がかかっているので、これがさらに水の重み逆らう力に加わることで、つり合いを保つことになります。網の目が細かいほど、表面張力に関わる面積が広くなるため、その力の影響が大きくなるのです。

界面活性剤が表面張力を弱める:強力な表面張力ですが、そこに界面活性剤が加わると、水の界面に洗剤分子が並ぶことで、水が引き合う力が弱まります。水に親和性のない部分(疎水基)を分子内に持つ洗剤が入り込むことで、水の結束の鎖があちこちで破壊され、緊張の糸が切れた状態となるのです。なお、コップの水を紙一枚で落ちないように保つ実験がよく知られていますが、大気圧の大きさの説明に重点が置かれる傾向が強いようです。この茶こしの実験の網の目の細かさや、界面活性剤の影響からわかるように、表面張力が寄与している割合はかなり大きいのではないかと思われます。

◇実験タイトル:水がこぼれない!

◇サブタイトル:逆さまコップ、まさか?

◇キーワード:表面張力 大気圧 水素結合 界面活性剤


◇このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、実験材料・操作、解説の一部を非公開にしてあります。操作に一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対(!)にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものが多いので参考にして下さい。




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