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赤リンの乾留により、黄リンを生成させる。気化した黄リンが空気中の酸素と反応し、発光する現象を観察します。

「動 画」赤リンの乾留により、黄リンが試験管の壁面に付着してくる。

いったん赤リンが着火点に達するので燃焼しますが、気化してきた黄リンが空気中の酸素と反応し、まるでオーロラのような幻想的な黄色の光を発しています。…2分あたりから発光が…


実験プリント版

「サブタイトル」おー、リン(黄燐)の発光?

「キーワード」同素体 乾留 蛍光・燐光

「画 像」始めに赤リンが発火し、オレンジ色の明るい光が見える。熱していない上部の方に、ぼーっとした黄色い光の帯が出現する。酸素を供給すると一気に光るが、これは燃焼(赤リンも)に近い。

「操 作」web非公開

「注 意」

  1. 観察は暗くして行うと良い。
  2. 換気を十分に行い、演示実験のみとする。

「確認演習」

  1. リンという元素および、同素体について、性質をまとめなさい。
  2. 赤リンが燃焼する反応を化学反応式で表しなさい。
  3. リンの化合物を例示して、その性質について述べなさい。
  4. 同素体には他にどのようなものがあるか、例示しなさい。

「解 説」

  1. 空気中で発光・発火:赤リンを試験管内で乾留すると、壁面に黄リンが付着してきます。実験では、いったん赤リンが着火点に達する際に、黄リンが気化してきます。黄リンは、試験管上部で空気中の酸素と反応し、まるでオーロラのような幻想的な黄色の光の帯となっているのが観察されます。黄リンの発火点は約60℃、表面をこするくらいで自然発火するため、水中で保存します。空気中では、室温でも徐々に酸化され、熱と白~黄色の光を発します。青白い光という表現も目につきますが、観察の条件にもよると思われます。なお、この黄リンの燃焼による光は、「燐光」の語源とはなっていますが、「燐光」とは、得たエネルギーを可視光の形で放出される全く別の現象(蛍光)です。
  2. 数種類の同素体の一つ:リンは古くから存在が確認されている元素で、同素体がいくつかあり、赤リンと白リンがよく知られています。黄リンとされているものですが、正確には白リンの表面に微量の赤リン膜が覆われたもので、薄黄色に見えることから、黄リンという言い方が一般化したようです。第3類危険物(自然発火性物質・禁水性物質)の指定を受け、しかも致死量0.1gという猛烈な毒性を持つため厳重な取り扱いが求められます。実験としてはあまりお勧めできないもので、もし実施する場合は、熟練した指導者による演示のみとし、ドラフト中で行うことが望ましいです。
  3. 黄リンの性質:教科書では同素体の単元で取り扱われ、赤リンの乾留により得られる物質という紹介もされていますが、皮膚に付くと火傷を起こし、蒸気吸引すると、重篤な消化器症状や神経障害を起こすことがあります。マッチの側薬に使われている赤リンから得ることも可能ですが、危険性を考えると、あえて触れない方が望ましいと思われます。化学組成はP4、正四面体型の分子で構成されます。

◇このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、実験材料・操作、解説の一部を非公開にしてあります。操作に一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものがありますので参考になさってください。

  


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