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ピンポン球(セルロイド製)を用いて煙玉にしてみました。

ピンポン玉を用いて:ピンポン玉(セルロイド製:古いタイプのもの)に小穴をあけます。そこからピンポン玉を細かく切断したものを詰め込んでいます。アルミホイルで包みこみ、ライターで球の下部を少し加熱すると煙が一気に発生するというもの。ピンポン玉は、セルロイド(ニトロセルロースとショウノウ)製のものを使用していますが、低温でも着火して燃焼します。酸素が少ない状態であるので、燃焼が不十分で、不完全燃焼の成分(ショウノウも)が大量に発生します。この成分は、微粒子で白煙として観察されるので、まるで煙玉(花火の一種として知られている)のようになるのです。

大量の白煙が発生するので屋内での実施は勧められません。特に、煙感知タイプの報知器が作動するおそれもあるので注意が必要です。また、屋外でも地面に枯れ葉など燃えやすいものがある環境では絶対に実施しないで下さい。

なお、動画ではライターを用いて、弱火で加熱しています。強熱すると一気に燃焼してしまい、肝心の白煙はあまり観察できなくなってしまいます。

セルロイドとは:セルロイド (celluloid) は、ニトロセルロース(硝化綿…綿をニトロ化して得られる化合物)とショウノウ(樟脳)とからなる合成樹脂可塑剤です。世界初の高分子プラスティックとして、19世紀後半には実用化され、20世紀の半ばにはあらゆる生活用品に広く用いられるようになりました。低温で加工成型が可能、肌触りの良さ、吸水性がある、透明性が高い、ほどよい収縮性など優れた特徴を有しています。特に、万年筆の筒、眼鏡フレーム、おもちゃ(セルロイド人形!)の素材として良く知られています。

しかし、極めて燃えやすく、摩擦熱でも発火するという大きな欠点を有していました。また、光で劣化しやすく、耐久性も低いという点も大きな欠点でした。20世紀の中盤から、セルロイド製品の規制法が強まり、次第に他のプラスティックへの代替が進んでいます。わが国でも、消防法第5類危険物指定を受け、現在では、一部の眼鏡フレームや万年筆のペン軸などに使われているにすぎない状況となっています。卓球の公式球も、2014年から非セルロイド製の素材を用いることが義務化されています。


◇このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、実験材料・操作、解説の一部を非公開にしてあります。操作に一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものがありますので参考になさってください。



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