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シュウ酸鉄(Ⅱ)を強熱して得られた鉄の微粉末(主に単体鉄)は、空気中の酸素にさらすだけで容易に発火します。

「動 画」黒化した生成物を空気に触れさせる

□まるで花火のようです。

「解 説」

形状が変われば性質も変わる:鉄といえば、一般に知られる金属の代表。硬くて丈夫なイメージがあり、もちろん鉄クギをそのまま火であぶっても燃えることはありません。しかし、ヤスリで細かい粉にしてやりますと性質は一変、容易に燃えるようになります。もっと細かい粉にすれば、爆発的に反応を起こす危険物ともなり得ます。容易に発火するようになる理由は、粉状にした際の表面積の増大にあります。鉄が空気中の酸素と反応する場合、反応を継続するためには、関与する一定の粒子数が必要となります。表面積が大きいと、単位体積あたりの粒子数が増えるので反応速度が増大し、容易に酸化反応が起こりやすく鉄でも燃えやすくなるということです。関連する実験で、酸素中でスチールウールを線香花火のように燃やすというのもありますが、同じ金属でも形をかえてやると、化学的な性質が変わることを示しています。

空気中でも自然発火:シュウ酸鉄(Ⅱ)二水和物を加熱すると、はじめは黄色粉末ですが、加熱により次第に黒みを帯びてきます。実際には複雑な反応が起こっていると考えられるのですが、反応式としては、次の反応が最も理解しやすいです。

 FeC2O4・2H2O → Fe + 2CO2 + 2H2O

加熱していくと、激しく気体(一酸化炭素COや二酸化炭素CO2)が発生し、熱分解反応が起こっている様子が伺えます。反応が落ち着く頃には、黒色でさらさらの微粉末が試験管の底に残ります。黒色成分は、鉄や鉄の酸化物で、Fe、FeO、Fe2O3、Fe3O4などが混在しているものと考えられています。シュウ酸の部分が抜け出た微粒子体と考えられ、表面積が大きいために空気に触れるだけで容易に発火するというものです。高所より振り落とすようにすると、床に着地するまで、まるで火のカーテンのように発火するので圧巻です。床に敷いた濡れた新聞紙を観察すると、茶褐色となった生成物が観察できるはずです。


◇実験テーマ:鉄が空気中でも燃える

◇サブタイトル:

◇キーワード:酸化還元反応 酸化数 反応速度


◇このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、実験材料・操作、解説の一部を非公開にしてあります。操作に一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対(!)にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものが多いので参考にして下さい。




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