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厚めに切ったタクアンに電極を差し込み、そこに電気を流すと、電球のように光り輝き始めます。ブーンという音に加え、煙と臭いも出ますが、迫力があるには違いないです。


実験プリント版

「実験タイトル」タクアンが光る

「サブタイトル」もう、タクアンだ!

「キーワード」イオン 電解質 炭素 アーク放電

「準備・操作」WEB非公開

「解 説」

1.アーク放電による光:タクアンから放出される光は、熱によって炭化した組織がアーク放電を起こしたことによるルミネッセンスです。電気が流れると熱によってタクアンの電極付近の組織が過熱して、どんどん水分が失われて炭化が進みます。生成した炭素は電流を通しますが、形状が大きく変化してところどころでうんと接触が小さい部分ができやすくなります。スイッチが入ったり切れたりすると大きな電流が流れるので、よけいにそのエネルギーによって炭素の一部が蒸発して炭素の蒸気となるのです。回路としては、絶縁状態ではあるのですが、大きな電圧がかかるとその間に電子が加速されて移動するという現象が起こります。その電子が、電極間に存在する物質に衝突するとイオンが生成し、それらが電極間に供給されることで連続的な放電が起こるとされています。同様な実験で、海外では「光るピクルス(electric pickle)」というのも知られていますが、ピクルスは、外皮が緑色なので光がやや弱く見えるようです。なお、光が黄色~橙色なのは、タクアン組織の中にある食塩のナトリウムが、アーク放電で励起されて光るD線(約589nm)によるものです。

2.19世紀の電灯「アーク灯」:実はエジソンの白熱電球よりも以前に、このアーク放電がアーク灯(carbon arc lamp)として用いられていました。白熱した強い光が特徴でしたが、熱損失が大きく照明としての効率は悪いものでした。また、炭素電極の先端部の消耗が激しいため、発光を維持するには電極間の距離を調整することも必要でした。「エレクトリック・キャンドル」と呼ばれる装置も開発され、街路灯として一時代を築ききましたが、家庭用に使用されるにはあまりに光が強過ぎ、寿命も短く電源装置も高価であったことなどから衰退していきました。しかし、その後アーク灯の基本技術は、ガラス管の中に水銀蒸気を封じ込めた水銀灯やナトリウムランプ、メタルハライド放電灯、そして現在の蛍光管ランプなどに引き継がれています。


◇このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、実験材料・操作、解説の一部を非公開にしてあります。操作自体に一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものがありますので参考になさってください。

  


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