アルミニウムが酸化鉄を還元して単体鉄が生成します。酸化還元反応で扱うことが多いですが、強い光と大量の熱が発生するのが特徴です。
「解 説」
1.酸化鉄(Ⅲ)Fe2O3とアルミニウムAlの酸化還元反応
酸化鉄(Ⅲ)Fe2O3とアルミニウムAlの反応は、次のような化学反応式で表すことができる。
2Al + Fe2O3 → Al2O3 + 2Fe_⓪
この反応は酸化還元反応であり、実質的な電子のやりとりに着目すると、アルミニウムが電子を3個放出して酸化される。
Al → Al3+ + [3e– ]…①
酸化鉄(Ⅲ)Fe2O3の鉄原子が電子を受け単体の鉄Feに還元される。
Fe3+ + 3e– → [Fe ] …②
Al + Fe3+ → Al3+ + Fe_③
実際には、Fe3+は酸化鉄(Ⅲ)Fe2O3となっているので、③を2倍し、両辺にO32-を加えてる。
2.テルミット反応:まばゆい光を発し高熱になり一気に反応が進行する。還元されて生成した鉄が真っ赤などろっとした固まりとなって落ちてくるというダイナミックな化学変化である。単体鉄は、磁石に付くので取り分けることができる。この鉄は、ほぼ純鉄と考えてよく、黒光りしていてきれいであり、ずっしりとした重量感もある。また、大量の熱を発生することからテルミット[溶接 ]として、かつては鉄道のレールを溶接などにも多用された。軍事目的において焼夷弾にも使われたとも言われている。この反応における反応熱(酸化アルミニウムの[生成 ]熱)は、熱化学方程式により算出することができる。アルミニウムと酸化鉄の生成熱は次のとおりである。
Al + 3/4O2 = 1/2Al2O3 + 838kJ ・・・①
2Fe + 3/2O2 = Fe2O3 + 824kJ ・・・②
2Al + Fe2O3 = Al2O3 + 2Fe + [852 ]kJ
この852kJ/molが酸化アルミニウムの生成熱である。