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葉緑素は、葉緑体に含まれる緑色の色素で、光エネルギーを吸収して炭酸同化を行うなど、光合成における重要な役割を果たしています。植物の葉から抽出した色素に光をあて、分光器を用いて色素が特定の光を吸収している様子を観察します。

「動 画」準備中

実験プリント版

「サブタイトル」

「キーワード」光合成 クロロフィル 吸収スペクトル

「手 順」

  1. 葉緑素を多く含む植物、ほうれん草や緑茶をすりつぶし、アセトン等で色素を抽出する。
  2. 抽出液をガラスのセルに入れて、分光器で観察する。空のセルに水を入れたものと比較させてみる。

「注意と工夫」

  1. 濃度により見えやすさがだいぶ違うので、いくつか試料を用意しておくとよい。
  2. アセトンなどの抽出溶媒は短時間で揮発してしまうので注意する。
  3. 吸収ラインはもともとはっきりとは見えないので、考え方や作業、分光器の使い方の学習に重点を置くのもよい。
  4. 実験のついでに、蛍光灯や水銀灯など、分光器をいろいろな光源に用いて見るとよい。

「解 説」

光合成色素クロロフィル:光合成では、光エネルギーが植物体内の光合成色素に吸収されATPの化学エネルギーに変換されます。その光合成色素としては、いくつか種類が知られていますが、特にクロロフィルがよく知られています。特にクロロフィルaとbが重要で、水と二酸化炭素より炭水化物を合成する反応に関与しているものです。実験では、可視光線に現れる黒い吸収帯を観察するのが目的です。光合成の効率は、青紫色(450nm)と赤色(650nm)付近で最も高く、これは色素クロロフィルのスペクトル吸収帯とほぼ重なっているのです。

関連して、クロロフィルに強い光(紫外線)をあてると、やや暗赤色かかって見えます。これはクロロフィルの蛍光であり、クロロフィルが吸収した光エネルギーをより長めの波長の光(赤系)として放出するためです。もっとも、実際の光合成では、エネルギーを蛍光として放出せず、水素伝達系を経てATPに貯えられるので、そのような蛍光は観察することはできません。

◇このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、実験材料・操作、解説の一部を非公開にしてあります。操作に一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものがありますので参考になさってください。

  


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