フラスコ内の水が温められて体積が膨張~冷却されると収縮する様子を風船を使って説明する実験モデル。シンプルな仕組みですが、風船が膨らんだり中に引き込まれたりして、気体の占める体積が連続的に変化する様子がよくわかります。
「動 画」丸底フラスコをスタンドに固定する場合
「動 画」三角フラスコによる簡単バージョン
□スタンドや大きな容器を用いることができない場合、膨張~収縮の体積差はさほど大きくないですが、簡単な操作が求められる場合におすすめです。風船(6インチ15㎝球)、50 mL三角フラスコ、輪ゴムなどを用いています。
◇模擬授業2022:理科教育法
「動 画」模擬授業実践記録2022
<理科学習指導案>
日 時 令和4年6月7日(火) 4校時 14:50~16:20
場 所
生 徒
指導者(実習者) 都留文科大学3年
指導教員 教 諭 印
題材名 生徒実験「風船を使った状態変化説明モデル」
単元観 この単元では,物質の状態変化についての観察,実験を行ない,状態変化によって物質の体積は変化するが質量は変化しないことを理解するとともに,混合物を加熱する実験を行ない,沸点の違いによる物質の分離を理解させたい。
題材の目標 温度によって物質の体積が変化することを実験で確かめる。
生徒の実態 このクラスでは、男女ともに理科に興味を持ち,視覚的に楽しめる実験には意欲的に取り組んでいる生徒が多い。今回の実験は,物質の体積変化を風船モデルで表すので視覚的にも楽しむことができ,意欲的に実験に参加することが期待できる。
題材指導計画:第4章物質の姿と状態変化p117~133
以上 計6時限
本時の目標 ゴム風船を用いて、液体の水を加熱して気体にしたときに体積がどのように変化するのかを調べる。
【本時の展開】
学習過程 50分 | 学習活動 | 指導上の留意点 |
提示・導入 5分 | 1.前時までの復習
2.実験プリント準備 |
1.板書で物質の三態について復習する。状態変化と加熱、冷却の関係について押さえる
2.事前に配布する |
実験35分 | 1.実験のねらいを確認する
温度によって物質の体積が変化することを実験で確かめる 2.実験プリントに従い実験操作を確認する (1) 丸底フラスコに水を三分の一ほど入れ、スタンドに取り付ける (2) 三脚、金網、ガスバーナーを用意し、加熱する (3) 沸とう後、10秒程度経ったらガスバーナーを外し、風船を付ける (4) 濡れぞうきんでフラスコの側面を冷やし、風船をフラスコに入れる (5) 再加熱する (6) 風船の変化が見られなくなったら火を止める (7) (4)と同様に、濡れぞうきんでフラスコを冷やす 3.生徒実験 (1)生徒グループ内での役割を確認する (2)机上整理・準備完了次第開始する (3)実験 (4)風船の変化が確認できたら実験を終了する 4.観察記録の確認 風船がどのように変化したか実験プリントに記入する 5.考察:協議・意見交換 風船の変化から何が分かるかをまとめる 実験プリント参照 |
1.実験をする前に映像を見せ、実験の全体像を把握させる
2.実験上の注意点 (1) 先に実験器具を配布する (2) 丸底フラスコの底が金網に接するように置く 火の取り扱いに注意する (3) 加熱部は熱いので軍手をし、やけどに注意する (4) 冷やすとフラスコ内に風船が入るが、軍手で軽くつまみ、フラスコの口に引っかからないようまっすぐにする (5) 風船の変化は勢いよく起こるため、弱火で加熱する (6) フラスコの底は熱いためスタンドからは取り外さない (7) 風船も熱くなっているので必ず軍手をする 3. (1)観察は全員・操作を継続する人と記録する人はっきりと分ける (2)器具はすでに配布しているので、準備ができた班から開始する (3)進行状況把握:生徒のイスや服装、机上の整理状況などにも注意をはらう (4)実験が終わった班に合図する 4.観察結果:風船の変化を図で表す 5.実験プリントの穴埋め問題を使い、今回の実験から分かることをまとめる |
まとめ・評価・片付け
10分 |
1.まとめ:反省点
2.片付け |
1.実験プリントの結果、考察を全体で共有 「風船が膨らんだことから、液体から気体になると体積はどうなるか」
2.洗浄・廃棄物・返却物・机上整理・火気等最終確認 |
備物等
実験器具、保護メガネ、軍手
参考・引用
・学習指導要領(文科省)
・中1化学【状態変化】| 中学理科ポイントまとめと整理https://chuugakurika.com/2017/12/22/post-1156/ 2022/5/24
板書計画
【実験プリント】
実験:風船を使った状態変化説明モデル 教科書p118~125
実施日時: 天候 気温
年 組 番 班 氏名
「実験目的」状態変化についての理解を深めるため、身近な水を用い、状態変化に伴い物質の体積が変化することを視覚的に理解する。
「準 備」
丸底フラスコ、ガスバーナー、風船、スタンド、三脚、金網
「実験操作」1班3-4人で実施
2.観察
風船取り付け時 加熱後 |
風船の変化
3.結果
(1)丸底フラスコを加熱したときに、風船の
大きさは( )。
(2)加熱し風船が膨らんだとき水は( )体から( )体に状態変化した。
4.考察
いっぱんに、物質は液体から気体に状態変化したとき体積は( )なり、気体から液体に状態変化したときには体積は( )なる。
5.参考
液体⇆気体の変化と粒子のモデル
液体の水に熱が加えられると水の粒子の運動は激しくなり、粒子と粒子の間が広がる。そのため、同じ質量でも水が液体から気体に変化すると体積が大きくなる。
6.感想
加熱 |
加熱 |
冷却 |
冷却 |
(固 )体 (液 )体 (気 )体
◇このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、解説の一部を非公開にしてあります。操作には一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対(!)にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものが多いので参考にして下さい。
◇著書(単著):『サクッと!化学実験(dZERO)』『高校教師が教える化学実験室』『実験マニア(亜紀書房)』