銅とマグネシウムを空気中で加熱して酸化物をつくるとき、酸素と化合する割合についてどんな決まりあるのかを確認します。銅は加熱時に次第に色が鮮やかに変化していくのが観察できます。マグネシウムは、表面上は変化がよくわかりませんが、ともに電子天秤で計測することで一定の割合で酸素と化合していることが判明します。
「模擬授業」記録:2021.22
「指導案例」学生による原案を掲載:一部省略
<理科学習指導案>
日 時 令和4年1月25日(火)
場 所 都留市立文科中学校理科室
生 徒 都留市立文科中学校2年1組32名(男17・女15)
指導者(実習者) 都留文科大学3年 M
指導教員 都留市立文科中学校 教 諭 印
1.題材名 生徒実験「化合するときの物質の割合」
2.単元観 この単元では、化学変化に関する物質の質量を測定する実験を通し、一定の物質に反応する他方の物質の質量には限度があり、その限度の質量は一方の物質も質量に比例するという関係があることを理解するのが課題である。また、得られた結果をグラフ化することなどを通して分析し、規則性を見出して表現することができるようにしたい。
3.題材の目標 反応する物質の質量には、一定の関係があることを銅とマグネシウムの酸化の実験を通して確かめ、銅とマグネシウムで質量の増え方に差があることを知る。
4.生徒の実態 このクラスでは、理科に対する好奇心が感じられ、興味を引くような実験に対しては意欲的に参加できる生徒が多い。しかし、興味を引くような実験でないときは一部の生徒だけが実験に参加しているように思われる。そこで今回の酸化実験では、それぞれの役割を分担し、行っている実験について注目できるようにしたい
5.題材指導計画:第1章物質のなり立ちp10~18
化学変化と質量の変化:1
化合するときの物質の割合:本時1(生徒実験)
まとめ:1 以上 計3時限
6.本時の目標 金属を熱する前後の質量の変化を調べ、それぞれの金属の質量と化合する酸素の質量の関係について調べる。
7.本時の展開
【本時の展開】
学習過程 50分 |
学習活動 |
指導上の留意点 |
提示・導入 5分 |
1.前時までの確認 2.発問:『スチールウールを天にかけて片方に火をつける実験をしたが、どういった変化が起きたか』(どういった理由があるか) →酸化して火をつけられたほうは質量が増えた。 3.実験プリント準備 |
1.前回行った実験や、物が燃える変化について学習したことを口頭試問で全体に聞く。 2.前時では質量保存の法則について学習したが、今回は質量に変化があるものについて学習することを意識させる。 3.事前授業で配布しておく。 |
実験30分
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1.実験のねらい:金属と化合する酸素の質量の割合を調べ、それぞれの増え方の違いを知る。 2.実験操作の概要・注意点の指導 実験プリント参照 3.生徒実験 (1)生徒グループ内での役割確認 (2)机上整理・実験器具・試薬配布:準備完了次第開始 (3)実験室内巡視:火気使用 観察事項 (4)実験終了 4.観察記録の確認 ・黒板に各班のデータを提示 ↓ ・各班のデータからグラフを2つ作成 縦:化合物の質量 横:金属の質量 縦:化合した酸素の質量 横:金属の質量 5.考察:協議・意見交換 (1)銅、マグネシウムの反応式をそれぞれ考える。 (2)グラフから銅と酸素、マグネシウムと酸素にはそれぞれどの様な関係があるかを班の中ではなしあってもらう。 (3)観察結果(グラフ)をもとにわかったことを発表させる。 |
1. スチールウールと同様に、銅やマグネシウムも加熱すると酸化することを口頭で確認する。 2.指さしで示しポイントを絞る。 (1)物質の質量に限らず、ステンレス皿についても質量を計測するように注意する。(銅・マグネシウムを交互に計測するから) (2)濡れた雑巾で冷ますことや、熱くなっているものは、るつぼばさみを使って持つことを指示する。 (3)マグネシウムを加熱する際に強い光を発するので直接見ない様に指示する。 (4)熱いまま電子天秤にのせないよう注意する。 (5)ステンレス皿の質量を考慮しながら、加熱後の物質の質量とその変化量をメモを行う。 3. (1)観察は全員・操作を継続する人と記録する人はっきりと分ける (2)事前に各班に準備させるのではなく、教員が机上に準備しておいたものを生徒が受け取りに来る形式。(銅とマグネシウムについては各班に指定した量を確保してもらう) (3)進行状況把握 ①生徒のイスや服装、机上の整理状況などにも注意をはらう。 ②気づいたことは他の生徒にも聞こえるように全体に向けて指導する。 ③必要に応じ演示指導する。 ④グループによって作業進度に差が生じることを想定し、状況を見ながら、観察記録の確認に移っていくよう指示する。 4.観察結果 (1) ①表にまとめる (2) ②実験操作担当生徒は記録が不十分な傾向がある。→ 記録担当に指示する。 5.行き詰まっている班があればコーチングを行う →机間指導 |
まとめ・評価・片付け 15分 |
1.実験からわかったこと、重要な点について板書を用いてまとめる 2.片付け指示 3.着席確認 |
1.実験プリントの記入が疎かになっている生徒が出ないように記録係との協力を促す。 2.洗浄・廃棄物・返却物・机上整理・火気等最終確認 |
8.本時の評価
9.準備物等
・グラフを板書する用の模造紙
10.参考・引用
・学習指導要領(文科省)
〇板書計画
・質量保存の法則→実験前と後で質量は変わらない
・今回は、実験後に質量が変化するものについて学習。
・スチールウール、銅、マグネシウム→加熱すると酸化する
銅の反応:2Cu + O2 → 2CuO マグネシウムの反応:2Mg + O2 → 2MgO
銅:酸素 = 4:1 マグネシウム:酸素 = 3:2
1班 |
2班 |
3班 |
4班 |
5班 |
6班 |
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銅(加熱前) |
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銅(加熱後) |
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マグネシウム(加熱前) |
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マグネシウム(加熱後) |
(黒板に各班の数字をもとにグラフを作成)
【実験プリント】
実験1:銅・マグネシウムの酸化と酸化の割合を調べよう
参考:教(新)p68~71
実施日時: 天候 気温
年 組 番 班 氏名
「実験目的」
銅やマグネシウムをそれぞれ熱して、加熱後の質量を調べ、加熱前と加熱後にどのような関係があるのか考える。
「準 備」
銅 g マグネシウム g ガスバーナー 三脚 金網 ステンレス皿2皿 るつぼばさみ 濡れ雑巾 電子天秤 薬さじ
「実験操作」1班3-4人想定
2.加熱操作
(1)銅の入ったステンレス皿を三脚に敷いた金網に置き、ガスバーナーで強火で熱する。
(2)加熱した銅の変化を最後まで確認したら、るつぼばさみで取り出し濡れ雑巾に置き冷やす。この時、ステンレス皿をるつぼばさみで少しゆするなどして、全体にむらなく反応を起こせるようにする。
※冷やす理由としては、ステンレス皿が熱い状態で電子天秤に乗せてはいけないため。
(3)ステンレス皿が濡れていないことを確認したら、電子天秤に置き、置いた直後の質量をメモする。
(4)同様にマグネシウムも実験を行う。
3.実験後の観察
(1)メモしたそれぞれの質量を黒板に貼った模造紙にプロットを行う。
(2)黒板をもとに、横軸:金属の質量、縦軸:化合物の質量のグラフ、横軸:金属の質量
縦軸:化合した酸素の質量のグラフをそれぞれ作図する。
4.観察
5.結果
銅 ステンレス皿の質量 g
加熱前 g 加熱後 g
化合した酸素の質量 g
マグネシウム ステンレス皿の質量 g
加熱前 g 加熱後 g
化合した酸素の質量 g
6.考察
(1)試料を薄く広げる理由
(2)2.加熱操作 からわかること。
(2)3.実験後の観察 からわかること。
※加熱前の質量と加熱後の質量の関係、加熱前の質量と化合した酸素の関係は?
※銅と酸素、マグネシウムと酸素の化合する比は?
【Cu】
横軸:金属の質量 縦軸:化合物の質量
【Mg】
横軸:金属の質量 縦軸:酸素の質量
7.片付け:ステンレス皿の中身は金属BOXに入れて処理。ステンレス皿は水で流して洗う。
8.反省・感想