工作用紙にLEDやボタン電池を配して、銅箔テープを用いて平面的に電気回路を理解する教材作成。リード線や電池ボックスを用いたものよりも、平面的に全体を理解しやすくなっています。中学理科2年レベルのものですが、LEDに極性があることで電流の向きについての理解が深まり、保護抵抗もオームの法則の範囲でなんとか理解が及びます。
省スペース低コストで実施できます。豆電球や乾電池ボックスを用いた従来の方法では、リード線が乱れたり、それぞれの位置関係、電流・電圧の計測箇所がわかりにくい傾向がありました。銅箔と工作用紙を用いることで、全体をすっきりとした設計図に見立て書き込みも可能で、回路の組み方やテスターの使い方も併せて、いろいろな学習指導のパターンが可能になります。ボタン電池の厚さがやや気にはなりますが、シート状LEDを用いればノートに挟み込むこともできますし、壁掛け教材にも向いています。科学イベントなどでは、持ち帰り教材としてもそれほどコスト的に負担にならないのではないでしょうか。
「動 画」銅箔テープのPR編
ナリカの教材、銅箔テープを使っていますが、粘着面も導電性があるので、そのまま重ねても電気が流れるので扱いやすいです。ホームセンター等で売っている園芸やキッチン用の銅箔を用いる場合は、粘着面が電気を通さないので工夫が必要です。
「動 画」実践記録:模擬授業
<理科教育法指導案>
日時 令和3年12月14日(火) 5校時 16:20~18:00
場所 都留市立文科中学校理科室
生徒 (仮)都留市立文科中学校2年1組32名(男17・女15)
指導者(実習者) 都留文科大学3年 I
指導教員 (仮)都留市立文科中学校 教 諭 Y 印
1 題材名 電圧と電流の関係―電気回路をつくる―
2 題材の目標 回路の作成を平面的に行うことで、回路の工作用紙に書き込みながら電流・電圧・抵抗への理解を深める。
3 単元について
(1)教材について この単元では、簡単な直列回路や並列回路における電流や電圧に関する規則性を、実験を通して見出させ、回路の基本的な性質を理解するのが目標である。また、回路に流れる電流や抵抗に加わる電圧の測定などを行わせ、回路の作成の仕方、デジタルマルチテスターの操作技能、電流の向きへの理解などを身に付けさせたい。
(2)生徒の実態 このクラスでは、男女ともに協力して実験を行うという姿勢が概ね良好である。そこで、今回は個人作業の多い実験をして個人個人の実験に対応する能力を向上させられるようにしたい。
4 指導計画
5.題材指導計画:第2章 電流の性質
(1)電気の利用:2 生徒実験あり
(2)回路に流れる電流:3 生徒実験あり
(3)回路に加わる電流:3
(4)電圧と電流の関係:3 生徒実験あり 本時1
(5)電気のエネルギー:3 以上 計15時限
5 本時の学習
(1)本時の目標 平面的な回路を利用して、今までのおさらいも踏まえて電流・電圧・抵抗の理解を深めることができる。
(2)展開
学習内容 | 指導上の留意点 | |
提示
・ 導入 5分 |
1.前時までの確認
〇電流は直列回路では各点での大きさはどのようであったか。 (電圧、並列回路も同様に聞く。) 〇オームの法則について確認する。 2.本時のめあてを確認する。 ・書き込める回路を作って電流・電圧を計り、抵抗をもとめよう。 |
1.学習した内容を質問形式で振り返る。
生徒が答えた後に対応した教科書のページを開かせる。(p.232,236) 2.抵抗の計算を示しておく |
実験
30分 |
1.実験のねらいの確認
電流・電圧・抵抗の関係の理解を深める。 2.実験操作の概要・注意点の指導 ・主に実験プリント(別紙)に従って実験を進める。 〇装置:デジタルマルチテスター‐各班1個 LED青・赤 3.生徒実験 ⑴各班で材料を取りに行く ⑵実験プリントに沿って回路を組む ⑶回路を組み終わった生徒から電流・電圧を計り、プリントに記入 抵抗を計算で求める。 ⑷実験終了 ⑸考察・意見交換 班の人たちと実験結果、計算結果を照らし合わせる。 |
1.実験のねらいを提示する。
2. (1)LEDの極性について説明する。 (2)ボタン電池の極性について説明する。 (3)テスターの使い方を説明する。 3.口頭説明 (1)銅箔テープを貼る順番を黒板に掲示する。 (2)スイッチ、LEDを貼る場所に極を書かせる。 ・生徒がどのくらい進んでいるか実験室内巡視によって確認する。 ・回路のつながりが悪いときは周りの人に抑えてもらって計る。 |
まとめ
10分 |
1.まとめ
〇並列回路 ・電池から流れる電流は、各区間を流れる電流の和に等しい。 ・全体に加わる電圧の大きさと各区間に加わる電圧の大きさは等しい。 ・抵抗(Ω) = 電圧( V ) / 電流( A ) 2.片付け指示 ・実験道具を前に戻す。 ・作成した電気回路はボタン電池、LED、抵抗を外し、実験プリントに貼る。 3.着席確認 |
1.実験からわかったこと、重要な点について板書を用いてまとめる。
2.返却物、ごみ等 |
(3)本時の評価 平面的な回路を利用して、今までのおさらいも踏まえて電流・電圧・抵抗の理解を深めている。(発言・記述)
【実験プリント】
電圧と電流の関係 ―電気回路をつくる― 参考:教p139-140
実施日時: 天候 気温 年 組 番 班 氏名
<準備物> 方眼用紙、銅箔テープ(5 cm ×4、3 cm ×3)、LED赤青各1個、セロハンテープ、デジタルマルチテスター、抵抗器、ボタン電池
<手順・操作>
(1)回路の作成
①方眼用紙に下図の線を描く(数字は書かなくてよい)。
②LED,抵抗器を方眼用紙の上にのせて順番に銅箔テープで貼る。斜線で書いてあるところはスイッチとなるので折り曲げて貼る。LEDの+-に注意する。
③ボタン電池を設置する。+極が上にくるように下図の《完成図》のように貼る。 逆接続を防ぐためボタンの淵が当たる銅箔テープの位置にセロハンテープを張る。
≪完成図≫
(2)測定する
①テスターを用いて各電流・電圧を順番に求める。
※テスターは電流200 mA、電圧20 Vの値にして計る。
②求めた数値を書き込む。
<結果>
・電圧 ①電池の両端( ) V ②抵抗と赤色LEDの両端( ) V ③青色LEDの両端( ) V
・電流 ④電池とスイッチの間( ) mA ⑤抵抗と赤色LEDの間( ) mA ⑥銅箔テープと青色LEDの間( ) mA
・抵抗器の抵抗値
〔式〕
〔答え〕
<まとめ>
〇並列回路
・電池から流れる電流は、各区間を流れる電流の( )に等しい。
・全体に加わる電圧の大きさと各区間に加わる電圧の大きさは( )。
・抵抗[Ω] = ( [ ])/ ( [ ])
<完成品>
<感想>