リード線や電池ボックスを用いたものよりも、平面的に全体を理解しやすくなっています。中学理科2年レベルのものですが、LEDに極性があることで電流の向きについての理解が深まり、保護抵抗もオームの法則の範囲でなんとか理解が及びます。
省スペース低コストで実施できます。豆電球や乾電池ボックスを用いた従来の方法では、リード線が乱れたり、それぞれの位置関係、電流・電圧の計測箇所がわかりにくい傾向がありました。銅箔と工作用紙を用いることで、全体をすっきりとした設計図に見立て書き込みも可能で、回路の組み方やテスターの使い方も併せて、いろいろな学習指導のパターンが可能になります。ボタン電池の厚さがやや気にはなりますが、シート状LEDを用いればノートに挟み込むこともできますし、壁掛け教材にも向いています。科学イベントなどでは、持ち帰り教材としてもそれほどコスト的に負担にならないのではないでしょうか。
「動 画」銅箔テープのPR編
ナリカの教材、銅箔テープを使っていますが、粘着面も導電性があるので、そのまま重ねても電気が流れるので扱いやすいです。ホームセンター等で売っている園芸やキッチン用の銅箔を用いる場合は、粘着面が電気を通さないので工夫が必要です。
「動 画」実践記録:A君による模擬授業
〇一定のところまで全員がほぼ同じ進度でというところは良い判断だった。が、ある程度差が出るのは当然という前提で。
〇LEDの形状と極性については、図説が欲しい。
〇工作に夢中になって無言の時間があってもよい。が、学習のポイントになるところに注意を向けながら作業を見守りたい。
〇テスターの扱いは、さすがに難しさを感じた。
〇直列・並列での全抵抗の算出などは、別途抵抗を用いたプランに展開可能。
理科教育法指導案 担当A君 指導教員 山田暢司
理科学習指導案
日時 令和元年〇月〇日(火) 5校時 16:20~18:00
場所 都留市立文科中学校理科室
生徒 都留市立文科中学校2年1組32名(男17・女15)
指導者(実習者) 都留文科大学2年 教育実習生 A
指導教員 都留市立文科中学校 教 諭 山田 暢司 印
1.題材名 生徒実験「電気回路をつくる」
2.単元観 この単元では、簡単な直列回路や並列回路における電流や電圧に関する規則性を、実験を通して見出させ、回路の基本的な性質を理解するのが目標である。また、回路に流れる電流や抵抗に加わる電圧の測定などを行わせ、回路の作成の仕方、デジタルマルチテスターの操作技能、電流の向きへのの理解などを身に付けさせたい。
3.題材の目標 回路の作成を平面的に行うことで、回路の工作用紙に書き込みながら電流・電圧・抵抗への理解を深める。
4.生徒の実態 このクラスでは、男女ともに協力して実験を行うという姿勢が概ね良好である。そこで今回は個人作業の多い実験をして個人個人の実験に対応する能力を向上させられるようにしたい。
5.題材指導計画:第2章 電流の性質
(1)電気の利用:2 生徒実験あり
(2)回路に流れる電流:3 生徒実験あり
(3)回路に加わる電流:3
(4)電圧と電流の関係:3 生徒実験あり 本時1
(5)電気のエネルギー:3 以上 計15時限
6.本時の目標
平面的な回路を利用して、今までのおさらいも踏まえて電流・電圧・抵抗の理解を深める。
7.本時の展開
学習過程
50分 |
学習活動 | 指導上の留意点 |
提示・導入
5分 |
1.前時までの確認
2.『電流は直列回路では各点での大きさはどのようであったか』 3.本日のめあての確認 書き込める回路を作って電流・電圧を計り、抵抗をもとめる。 |
1.学習した内容を質問形式で振り返る。
2.生徒が答えた後に対応する教科書の頁を開かせる。 p.232,236 電圧、並列回路も同様に聞く。 3.抵抗の計算を示しておく。 |
実験30分 | 1.実験のねらい:回路の抵抗を求める。
2.実験操作の概要・注意点の指導 主に実験プリント(別紙)に従って実験を進める。 〇装置:デジタルマルチテスター‐各班1個 LED青・赤 3.生徒実験 ⑴ 各班で材料を取りに行く ⑵ 実験プリントに沿って回路を組む ⑶ 回路を組み終わった生徒から電流・電圧を計り、プリントに記入 抵抗を計算で求める ⑷ 実験終了 ⑸ 考察・意見交換 班の人たちと実験結果、計算結果を照らし合わせる。 |
口頭説明
〇LEDには極性があるので電流の流れる向きに気を付けて回路を組む。 〇図を方眼用紙に書いてからつくる。 〇赤のLEDからつけると回路が貼りやすくなる。 〇銅箔テープを貼る順番を黒板に掲示する。 〇テスターの使い方 〇プラス極に対応する色を塗っておく 生徒がどのくらい進んでいるか実験室内巡視によって確認する。 回路のつながりが悪いときは周りの人に抑えてもらって計る。 |
まとめ・評価・片付け
10分 |
1.まとめ
2.片付け指示 3.着席確認 |
1.実験からわかったこと、重要な点について板書を用いてまとめる。
2.返却物、ごみ等 |
8.本時の評価
9.準備物等 実験プリント
10.参考・引用
・学習指導要領(文科省)
実験プリント 「回路を用いて…」
__組 番号___________ 名前__________________
教p.238~
<準備物>
方眼用紙、銅箔テープ(5㎝×5、3㎝×1、2㎝×1)、LED赤青各1個、はさみ、デジタルマルチテスター、抵抗器、ボタン電池
<手順・操作>
〇回路の作成
〇抵抗を求める
テスターを用いて各電流・電圧を順番に求める。
求めた数値を書き込む。(裏に順番記載)
※テスターは電流200mA、電圧20Vの値にして計る。
①電圧 ②電流
⑴電池の両端 ⑴電池の近くのスイッチをはがす
⑵青LEDの両端 ⑵青LEDの近くのスイッチをはがす
⑶赤LEDの両端 ⑶抵抗器と赤LEDをつなぐテープをはがす
⑷抵抗器の両端
<結果>
<まとめ>
電流の流れにくさを( )という。( )の大きさの単位には( )(記号Ω)が使われる。
電圧〔V〕=抵抗〔Ω〕×電流〔A〕、電流〔A〕=( )×( )と表すことのできる関係を( )という。
<感想>
◇このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、実験材料・操作、解説の一部を非公開にしてあります。操作に一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものがありますので参考になさってください。