砂糖水を加熱していくと水分が抜けると同時に、砂糖(スクロース)成分の一部が酸化され、分子どうしで複雑な結合をする(カラメル化)ようになります。加熱しているうちはどろどろと粘りのある状態ですが、冷やすと透明で褐色のガラスのような物質になります。
「動 画」学生による演示
□加水分解の進行具合は色の変化でしっかり確認できる
「解 説」
材料の砂糖は結晶の状態で得られたものですが、カラメル化が進んで冷えて固まる際には、もう結晶とはならず不規則な非晶質(ガラス)となります。一般に、べっこうあめと呼ばれているものは、この状態となっているものです。また、加熱の際に酸(酢酸やクエン酸)を加えることで加水分解が進行し、スクロースのグルコースとフルクトースへの分解反応が進行していきます。味見をすると、酸を加えなかったべっこうあめよりも甘さがより増したものになります。これは、分解して生成してきたフルクトースの甘さが強いことによります。
※スクロース(S)のグルコース(G)とフルクトース(F)の甘さを単純に比較すると…
F ≫ S > G となっています。
なお、この加水分解が進んでてきた混合物を「転化糖」と呼ぶことがあります。これは、糖類が光の振動面を変化(旋光)させる光学異性体としての性質があり、反応後に生成した糖類の旋光度が変化することによります。旋光角度が回転して「転化」したということを表しているわけです。
◇このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、解説の一部を非公開にしてあります。操作には一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対(!)にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものが多いので参考にして下さい。