ダイヤモンドを燃やしてみるという、さすがにもったいないなと思える実験です。しかし、熱せられて赤々となったダイヤモンドが、まばゆい光を放ち燃え尽きる瞬間を目にすることは、価値のあることのようにも思えます。
「動 画」実験操作編
「動 画」
□石英管に入れたダイヤモンドを加熱しながら酸素を静かに供給すると強烈な光を放つ。
「解 説」
ダイヤモンドは炭素の単体:ダイヤモンドは、原子番号6の炭素原子のみから構成される単体です。強熱することで発生した気体を石灰水(水酸化カルシウム水溶液)に誘導すると、白い沈殿(炭酸カルシウム)が生じます。単体炭素が燃焼して二酸化炭素が発生したことがわかります。ダイヤモンドの燃焼から、白濁が生じるまでの反応式は次の通りです。
C + O2 → CO2 Ca(OH)2 + CO2 → CaCO3 + H2O
炭素原子どうしが約109.5°で共有結合(sp3混成軌道)により結びつき、連続した共有結合による巨大分子(結晶)を構成します。すべての価電子が結合に使われているため電気は通しませんが、熱は伝えやすく、実に銅の約5倍もの熱伝導性を示します。
宝石の王者:この世には二種類の宝石しかなく、一方はダイヤモンド、残りはその他という極端な表現があるそうです。それくらい、自然界におけるダイヤモンドの存在は特別で、高温高圧下で気が遠くなるくらいの時間をかけて生成する鉱物です。ずば抜けた硬度と高い屈折率を誇り、表面が細かくカットされたダイヤモンドの輝きは、間違いなくこの世で最も美しいものの一つに違いありません。強熱することで発せられる輝きもまた特別であり、そう何度も体験できるものではありません。
◇キーワード:炭素 単体 共有結合 結晶 硬度 屈折率
◇サブタイトル:ダイヤ、もったいナイヤ!
◇このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、解説の一部を非公開にしてあります。操作には一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対(!)にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものが多いので参考にして下さい。
◇著書(単著):『サクッと!化学実験(dZERO)』『高校教師が教える化学実験室』『実験マニア(亜紀書房)』